2024年は定額減税が実施されて、今年の年末調整は例年にない煩雑さが懸念されています。
その他にも税制改正による変更点などもいくつかあります。
今回のコラムでは、2024年の年末調整で影響される5つの変更点をご紹介します。
■2024年の年末調整における5つの変更点
①定額減税・年調減税事務が追加
②給与所得者の扶養控除等申告書の提出が簡略化
③給与所得者の保険料控除申告書が簡略化
④住宅ローン控除の年末残高証明に調書方式が採用
⑤国外居住親族への「送金関係書類」に電子決済手段が追加
■各変更点を分かりやすく解説
①定額減税・年調減税事務が追加
2024年6月から実施されている定額減税は、年末調整の際に改めて最終調整(年調減税)を行う必要があります。
年調減税では、改めて2024年12月31日時点で定額減税額を計算し直して、年間の所得税額の調整を行います
【定額減税額の算出方法】
月次減税と同様、合計所得金額1,805万円以下の従業員に対し、12月31日時点で居住者である同一生計配偶者の有無、扶養親族の人数を確認し、合計人数に所得税の定額減税3万円を乗じます。
そして、昨年までと同様に年調所得税額を計算します。今年はこの年調所得税税額に年調減税額を控除して、年調年税額を算出します。
詳細につきましては下記の国税庁のHPより最新の情報をご確認ください。
②給与所得者の扶養控除等申告書の提出が簡略化
2025年1月1日以後に提出する「給与所得者の扶養控除申告書等申告書」について、前年の申告内容から記載すべき事項に変更がない場合は、変更がない旨の記載のみで提出できるようになります。
③給与所得者の保険料控除申告書が簡略化
続柄の記載欄が削除されました。
・「生命保険料控除」について、申告者と保険金等受取人との続柄が記載不要
・「地震保険料控除」について、保険料等の対象である家屋等に居住等する人と申告者との続柄が記載不要
・「社会保険料控除」について、申告者が配偶者や親族の負担すべき社会保険料を支払った際の申告者との続柄が記載不要
④住宅ローン控除の年末残高証明に調書方式が採用
「証明書方式」から「調書方式」とする改正が行われました。
従来のように金融機関等から年末残高証明書が交付され、年末調整で添付提出する方法(証明書方式)から、金融機関が税務署に年末残高調書を提出し、税務当局がマイナポータルなどを通じて納税者に住宅ローンの年末残高情報を知らせる方式に改正されました。
ただし、システム改修などの対応が難しい金融機関等に対しては、経過措置として引き続き「証明書方式」を認めています。
⑤国外居住親族への「送金関係書類」に電子決済手段が追加
国外で居住する親族について扶養控除等の適用を受ける場合、その親族にかかわる「親族関係書類」や「送金関係書類」の提出(または提示)が必要です。
≪送金関係書類として認められる書類≫
・金融機関が発行した書類(またはその写し)で、金融機関が行う為替取引によって申告者が国外居住親族に支払いしたことを証明できる書類
・クレジットカード発行会社の書類(またはその写し)で、国外居住親族がそのクレジットカード(家族カード)を使用したことで、その金額分を申告者から受領したことを証明する書類
・電子決済手段等取引業者の書類(またはその写し)で、その電子決済手段によって申告者が国外居住親族に支払いしたことを証明する書類
■まとめ
2024の年末調整では複数の変更点があります。担当者は変更内容を正しく理解する必要があります。
OAGグループにはOAG社会保険労務士法人があり、労務のスペシャリストが多数在籍しております。
労務に関するご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。